ムテの田舎道をカタカタと馬車が行く。
日差し柔らかい春の午前中だ。外の血なまぐさい情勢とはまったく切り離された穏やかな時間が、 ムテには流れている。
馬車を御しているのはムテ人ではない。
銀白色の柔らかな巻き毛に銀の湾曲した角を持つ男で、 明らかにエーデム族の王族である。馬車にはリュタンと呼ばれる楽器と、 大きな長い箱、 それと馬に与えるための乾草などが詰め込まれていた。
男は鼻歌など歌いながら陽気に馬車を進めていたが、 中国 薬 イカオウ 時々小首をかしげるしぐさをした。その回数がだんだん増えてゆき、 やがて馬車を止めて後ろの荷台に向かって声をかけた。
サリサ。隠れていてもだめだよ。出ておいで
一瞬、 乾草がびくりと揺れて静かになる。
サリサ、 私の耳はごまかせないよ
二度目の呼びかけに、 乾草に隠れていた少年はあきらめて顔をだした。
いかにもムテ人らしい子供だった。銀の髪には藁屑がいっぱい。銀の瞳には涙がいっぱい。今にもそれがぽろりと頬を伝いそうな、 情けない顔。
見かけは十歳の子どもである。しかし、 ムテであるサリサが見かけ通りの年齢であるとは限らない。甘えてすがるような目で、 男の顔を見つめながら、 声変わりしない鈴のような声で懇願する。
セラファン様ぁ。お願いです。僕を見捨てないで
セラファン・エーデムは、 くすりと笑った。
見捨てなんかしないよ。でも、 お互いに道は別れているんだ。一緒につれてゆくことはできないんだよ
エーデム族特有の優しい微笑だが、 そこには有無を言わさぬものがある。
セラファンは馬車の荷台に移動すると、 中国製品イリュウ 九州神龍 即効勃起薬 ひょいとサリサを藁の中から持ち上げた。そしてサリサの銀の髪に絡みついた藁クズを丁寧にとり始めた。
不安から逃げていてもはじまらないよ。君は君のなすべきことをしなければならない。その時がきたんだよ
髪から藁クズがなくなるたびに、 サリサは悲しくなった。銀の瞳からついに涙がこぼれ落ちた。
でも僕にはできないよ
――風のように自由に生きていきたい。
セラファン・エーデムがそうであるように。