ていたのだ。
少年たちが覚悟をした通り、 体操と行進が終って、 いつものようにトマ・カフェ（朝の軽食）を済まして、 托
鉢に出るまえの訓示がはじまるようになると、 深川が壇上に駆け上がってきて、 顔の筋肉を引きつらせ、 顔面神
経痛に罹ったような歪んだ表情で、 フォリゲンスプレー
みなさん、 昨夜、 事務所横の倉庫に泥棒が入って、 保管してあったもののうち、 米と豆を除くほかの食糧をほ
とんど盗まれました
ほかの食料ってぇ、 どんなものが倉庫に入っていたんですかぁ
内藤柳子が、 皮肉な表情で訊ねる。それを聴いて少年たちが悦ぶ。特別のものがあからさまにされると思って
。
いよいよのときの非常食です
もういよいよのときがぁ、 きているんじゃぁないんですかぁ
柳子は、 ますます意地悪く、 笑いながら言う。
子どもたちの拍手が沸く。
こりゃどういうことだ、 まるで内藤柳子と子どもたちが示し合わせた共同作戦のように、 息が合っている、 と
おとなたちは思った。
それは吉賀谷先生が判断なさることです。そういう議論をここではじめるために話を出したんではありません

この女が議論を吹っかけてくると、 一日中でも止めないのだから、 と深川は苦々しく思い出して、 急いで次の
用件に入る。
ええ、 それで、 いままで夜番をつけなかったのは迂闊だったということで、 今夜から二人づつ交替で夜警に立 Folligen
つようにと、 吉賀谷先生のご指示があったので、 のちほど夜警当番の時間割をつくって事務所の前に張り出しま フィンペシア 1mg
すから、 Finpecia 1mg 自分に割り当てられた時間を確認の上、 忠実に勤務してください。これは隊員としての義務ですから、
絶対に怠けないようにしてもらいます
深川が、 虎の威を借りて居丈高にものを言う癖は、 もう隊内の統制が取れなくなっている情勢になっていても
、 鈍感なのだろう、 改まらなかった。
柳子がまた誇り高い女だから、 頭の上からものを言われるのが好きではないので、 追及の手を収めない。
どうして泥棒に入られてぇ、 物がなくなった倉庫の不寝番をつけるんですかぁ
この女の揚げ足取りには閉口すると思って、 深川は苦々しく、
まだ米や豆があるからですよ

とや、 雑木林の奥に行って焚き火をし、 焼いて食べようなどと、 明日することを相談する。
野良犬が見つけて食べるかもしれんよ
烏がつつきに来るかもわからん
いいじゃないか、 TESTINOL 事務所のものだけに食べられるよりは
そうだそうだ、 犬や烏に食べさせたほうがいい
そうだそうだ
そうしようそうしよう
少年たちは歌うように言い合って、 口を拭って、 みんながもう寝静まっている小屋に、 足音を忍ばせて帰った
。

四月十八日、 月曜日の陽が昇った。
用務係の吉田が、 鐘の代用に吊るしてある古い鍬の刃を打ち鳴らす。
いつもなら、 親から叩き起こされなければ起きない黒川修二も、 篠田信二も、 夢のなかで微かに聴いた鐘の音
で眼を醒まし、 誰よりも先に小屋を飛び出して行った。
どちらの親たちも、 何があったんだろう、 どうしたんだろう、 デュレックス と顔を見合わせた。
少年たちは小川の清冷な流れで口を漱ぎ、 デュレックス プレイ ウォーム 顔を洗うと気持ちも躰もさわやかになって、
おい、 フェロモン香水 信二、 しっかり腹を据えて行こうぜ
と修二が言う。
ああ、 まだ腹空いてないから、 どっしり座ってるよ
信二が笑いながら、 腹を叩いて応える。
篠田二郎の号令で、 いつものように体操をしたあと、 列をつくって広場をぐるぐる回りながら、 桜組挺身隊の
隊歌を歌って輪をつくって行くなかで、 いつもとは違う様子を見せたのは、 黒川少年たちの仲良しグループだっ
た。
昨日までは、 どんなに親から叱られても、 気力を盛り上げることができず、 ぶつぶつと口のなかで文句を言い
ながら、 だらだらとした態度で仕方なく歩いているという恰好だったのが、 今朝はなんだか嬉しそうな笑顔をし
て、 隊歌を歌う声まで張り切っていた。
ほかのものたちが、 行進しながら奇異なものを観る眼を集中させたから、 少年たちはいっそう得意になって、
胸を反らせて歩いた。
あいつら、 どうしたんだ。急に張り切って
腹ぺこで、 ようもあんなに元気を出せるもんだ
おとなたちは、 不思議がるだけで、 その原因と理由などわかるはずはなかった。
少年たちの張り切りようは、 昨晩に特別食を鱈腹食ったからばかりではなく、 意識的に挑戦する気持ちになっ
ていたからだった。こそこそ隠れていても、 どうせ食料を盗んだことはすぐに発覚するのだから、 と覚悟ができ

月明かりなのか、 暗がりでもぼんやり物のかたちはわかる。太い腸詰、 ミルク缶など、 ここに来てから一度も
眼にしたことのないものがあった。オレンジやリンゴも手にすればその感触で何であるかがわかった。修二はそ
れらを袋に入れながら、 もう唾が口いっぱいに溜まってくるのを覚えた。
布袋に入れたものを、 プロコミル スプレー 綱で引き上げさせ、 倉庫の外で待っているもののほうに降ろして、 また空の買い物袋を
倉庫のなかに降ろしてくる。それにまた棚のものを入れる。ハムもある。ソーセージもある。中身は何かわから
なかったが缶詰がいくつもあった。米や豆のように炊いて食べるもののほかは、 何でもよかった。どんどん棚に
空間ができたころに、
おい、 もういいだろう
と板塀の外から声がかかる。
もうひとつの布袋を引揚げ引き降ろし、 修二が綱に縋り、 棚に足を掛け、 屋根に戻って、 信二を先に降ろした
あと、 綱を投げ落とし、 瓦を元に戻して並べ、 自分はまた樹に乗り移って降りてくる。
すごい、 すごい
少年たちが顔を紅潮させ、 眼を耀かせる。ひとりでは持てないほどの収穫だった。買い物袋の取っ手を両側か
ら持って、 うんうん言いながらユーカリ林のなかに運んで、 袋を逆さにすると、 宝物のようなハムやソーセージ
が嬉々として転び出た。
プッシャビーダ（感嘆詞）、 よくも俺たちに断食させて、 あいつらこんなもの食べてたんだ
食べよう、 食べよう
十七歳の黒田修二が年長で、 あと十五歳、 十二歳という発育盛りの少年たちだから、 その食欲の凄まじさは、
空腹だった犬と変わらず、 もう脇目も振らずに、 音立ててむしゃぶりつく。
ハムやソーセージの脂で口の端をぎらぎらさせたあと、 プレイボーイ オレンジとリンゴが口中を爽やかにしてくれる。たち
まち腹は満たされて、 眼を白黒させるほどになった。
少年たちは、 ふうっ、 と大息ついて、 その場に仰向けになって寝転ぶ。
寝転んだ少年たちは、 ユーカリ林の梢できらきら光るものを観て眼を凝らせる。まるでクリスマスに飾る豆電
球みたいだ、 ドイツ情人粉劑 と惟ったのは、 満天に広がる大きな星屑だった。
じっと星を見詰めていると、 夜の暗さがどんどん深くなっていって、 張り詰めているように観える黒い夜空に
も、 階段状の深さが在ることに気づく。
これから俺たち、 どうなってゆくのかなあ
黒川少年の感慨に満ちた声が、 満腹感の喜悦の裏で、 悲哀を沸き立たせてきて、 涙が溢れてくる。その涙が、
大粒になって眼から零れ落ちるとき、 星のようにきらりと光った。
開けられなかった缶詰や食べ残した物を、 テスティノル 買い物袋のなかに戻して、 背の高い叢に隠し、 缶切りを調達するこ

盗むのか
盗もう
みつかったら、 どうする
みつかってもだいじょうぶだ
どうして
あいつらも盗んでるんじゃないか
そうか、 そうだなあ。文句言えんよなあ
みつかって追い出されたら、 そのほうがいいんだから、 さっさと出て行こうよなあ
そうだよ、 ここ出たくても出られなくて困ってるんだから
よしやろう。今夜、 夜中に事務所の裏にみんな集まれ
盗むという行為が、 恥かしい行為だということを知っていて、 普段ならそんなことをしない真面目な少年たち
ばかりが、 幹部たちが勝手なことをしているのだからと、 良心を麻痺させられ、 いまは盗むという行為の恥かし
さを抑え込んでしまって、 おとなたちがしているんだからという逃げ道を覚え、 そういう相談をするのだ。
食料盗み出し作戦は、 子どもたちにとっては、 スリルのある遊びの延長でもあった。
少年らは、 実地検分をし、 綿密に計画を練って、 セックス　キング それぞれの小屋に帰る。
食料を盗むことに昂奮していて、 少しも眠くならなかった。ひとつ鼾が聴こえ出すと、 それが伝染するかのよう
に、 寝息が聴こえ、 隊内が寝静まる。
少年たちはそれを待っていて、 そっと宿舎を抜け出し、 事務所の裏に集合する。
事務所に接続して造られている食料倉庫には、 外から出入りする戸口はなかった。そこに入るのには、 いった
ん事務所の入り口から入って、 倉庫の鍵を開けて入らなくてはならない。そんな手間を掛けていては発覚する惧
れがあるから、 打ち合せ通り、 身軽な黒川修二が、 事務所の横に立っている樹につかまって、 するすると猿のよ
うに攀じ登り、 倉庫の屋根のほうに足を伸ばしてゆく。
それがちょっとばかり危険な行動だったから、 ほかのものたちが、 はらはらしながら見守っている。
修二の躰が背丈いっぱいに伸びるというよりも、 見ているものにはそれ以上に、 ゴムのように伸びたのではな
いかと思われる伸縮をして、 倉庫の屋根に乗り移った。
修二は猫みたいなやつだとは、 常日頃から言われていたのだ。躰の伸縮が獣のように柔軟で、 高い樹の上か
ら飛び降りても、 転がることがなく、 すっくと立ち上がるのだ。
修二が、 音を立てないように用心しながら屋根瓦を外して、 九州神龍 脇に除けてゆく。垂木から瓦を外すと、 天井は張
っていないのだから、 倉庫のなかにあるものが、 暗がりでもぼんやり視えた。
そして自分の躰が入れるくらいの穴を開けると、 下に向かって合図する。
篠田信二が、 兄の雄一と志賀寛太に臀を持ち上げられ、 屋根の上の修二からも手を貸してもらって上ってくる
。信二の腰には綱が結び付けられていた。
その綱の一端を垂木に結わえて、 倉庫のなかに垂らし、 修二がするすると降りて行く。
露天市場に行くときに持って行く厚い布製の手提げ袋を修二のところに抛って、 ロゲイン 5％ その袋のなかに修二が、 Rogaine 5％ 手当
たり次第に棚から取ったものを入れる。

と何人もの隊員が同調し、 後ろのほうから桜組挺身隊の隊歌を歌い始めると、 それに全員が声を合わせ、 カサ
ケーラの空に届けと歌声が上がり、 驚いた鳥たちが飛び立つ。
その意気で頑張ってくれ
吉賀谷が煽ると、
大日本帝国万歳
天皇陛下万歳
と一斉に喚声が上がる。
吉賀谷が気をよくして、 恵比須顔になり、 にこにこしたから、 この男も口ほどのこともない軽佻浮薄な男だっ
たのだ、 と安西は妙な安心の仕方をした。
ブラジルの神がどうなのか、 ほんとうのところは知らないけれど、 ブラジルに善人が多すぎるのは間違いない
ことだったから、 左翼系だと言うものもまた、 陽気でのんきな善人によって組織されているのだろう、 と安西は
苦笑するしかなかった。
これほど無知な日本人たちが、 勝手気ままなことを言って、 世の中を騒がせても、 ブラジル人は、 まあそのう
ちに鎮まるだろうと暢気に観ているし、 観て居られなくなったものは、 こうして慈愛に満ちた援助をしてくる。
見境なく困っているものが、 何故にそうなったのかという原因を突き止めず、 中華蔵宝 三便宝カプセル 援護することによって、 悪人が増
長し、 善人がいよいよ困ることになるという結果などは考えないのだ。みずからが施せる身であることを誇らし
く思い、 自己満足に浸るだけなのだ。
その日の夕方、 塩酸ドキシサイクリン またも人権擁護協会から、 米十袋と、 みかん一箱、 バナナなどが運び込まれた。
しかし、 今日までに運び込まれた食料は、 事務所の片隅に積まれ、 事務所や炊事場に自由に出入りできる頭の
大きな鼠が盗むに任せているばかりで、 塩酸ミノサイクリン 隊員の食事は相変わらず具の少ない雑炊がつづいて、 隊員たちの口に、
艶々と耀く肌のリンゴや、 強い芳香を放つバナナなど、 米と野菜以外のものが、 胃を満たすことはなかったのだ
から、 吉賀谷や幹部連中が、 ほくほくしているだけで、 隊員たちの不平不満は、 鎮まりはしなかった。
四月十二日の朝、 バストスから参加していた河東が、
健康状態が、 これ以上隊の生活に耐えられなくなったから除名して下さい

マルタの声に振り返ると、 中国の漢方精力剤 指差す彼女の姿に、 ニュース画像で観たことのある、 中国オカモトコンドーム ヒトラーの狂気に満ちて演説する姿が重なる。
あっそう
アキオは意識してヒロヒトの真似をしたわけではなかったが、 優柔不断な気弱さが似ていた。
砂地に剣先スコップを差し込むと、
骨折らせて、 悪いわねえ 中国シアリス100
とマルタが急にやさしくなる。
砂地やさかい
アキオはおのれの弱点を曝け出して、 マルタに支配されていることに腹立ちを覚えながら、 反面で淫靡な隷従を楽しんでもいた。
矛盾に満ちたみずからに苛立ち、 スコップに体重をかけて突っ込むと、 砂地というだけではなく、 そこがごみ捨て場のあとだったのではなかったのか、 とアキオが直感したほど、 ずぼっとスコップが吸い込まれたから、 力余って前のめりになり、 あっ、 と思わず声を放つ。
それを待っていたように、 マルタのライフルが、 ぱあん、 と丸まった音で空気を裂き、 それが静寂の充満している辺りの空気を弾道のように瞬時に貫いて、 遠くまで転がってゆく。
転がって行った音が、 中国製コンドームdurex いくつにも分散されて、 子供が物まねしているように、 あちらこちらから、 ばあん、 ばあんと囃し立てる。
いつまでも余韻がつづくはずもないのに、 アキオの耳にそれが響いて、 内臓まで振動させ、 矮小な神経をいっそう収縮させる。
マルタが、 あの松の根方に、 と指定した意味がわかった、 とアキオは独り合点して、 ああ、 あの松の樹は、 また動物の血を吸うて、 ひときわ肥ることだろう、 と彼自身の創作になる空想をする。あの樹の逞しさがそんな空想を呼び起こさせたのだろう。
そこに、 何でも屋の医師アンドレアスが来て、 やにわにピストルをアキオに向かって突き出した。なぜ、 という理由の説明もなく。
するとマルタが、 なぜなどと訊かず、 彼女も黙ってライフルを持ち上げて、 アンドレアスに向けた。
ライフルを向けられたアンドレアスが、 アキオのほうに向けていたピストルを、 マルタのほうに向け変えた。
アキオが、 どうしてこういう事態になったのかさっぱり解からず、 なんだか昔のヨーロッパで行なわれた、 女をなかにした決闘みたいだなあ、 と暢気に考えたあと、 ああ、 そうか、 マルタだ、 マルタをなかにして、 俺とこの医者が決闘しなければならない状況になっていたのかもしれない、 と判断する。
こちらの知らない、 至極迷惑な嫉妬によって、 と想ったのは、 はじめてこの医者とマルタが交わす朝の挨拶を聴いたとき、 ことばのニュアンスに、 なんとなく、 情を交えたことのある男と女のあいだに流れる甘い雰囲気を感じたし、 知らずにとはいえ、 そんな男と女のあいだに割り込んで、 こちらも情を交えてしまったのだから。

人間でも寝たきり老人を抱くのはぞっとしないのだ。毛が抜け落ちて、 ?超能持久(超パワー耐久) 見た目には汚らしい毛並みの老犬を抱く気持ち悪さはあったが、 三體牛鞭勃動力カプセル 安い その遣り切れなさを叩き落して、 アキオは、 顔を歪めながら、 重い老犬を横抱きにして、 よたよたと松の根方まで運ぶ。
そんな気持ちもなかったのだが、 重さに耐えかねて、 どさっと邪険に投げ出してしまう。
老犬が、 きゅん、 と哀れに鳴いた。
アキオが、 シャツとズボンの汚れを払い落としていると、 ライフルを提げたマルタが家から出てきて、
アキオ、 防風林の傍に穴を掘ってね
と言う。
撃ち殺すのか
アキオが怒った口調で言う。
そのほうが早く楽にしてやれるでしょう
マルタは、 それが愛情なのだからという言い方に、 アキオはむっとする。
弱々しいながらもまだ生きているのだ。まして長年生活をともにしてきた愛犬に向かって、 筒先を当て、 引き金を引く非情さがマルタにあるのだろうか。あるとすれば、 この女の強情さには、 いつか反撥を覚えて諍いを起こすだろう。
抛っておいても死ぬのに
アキオが、 骨ごとの恐怖心から、 躰が震えてくるなかで、 いまは消極的な反対意見を出す。
死ぬまでの苦しみを、 わたしは観て居れないの
ああ、 そういうことも言えたのだ。強情でもなく薄情でもなかったのだ。早く殺してしまはなければ、 彼女自身の心が崩壊してしまうのだ。だから勁い意志で決行するのではなく、 逆説的な臆病さからだと言えなくはない。
アキオは、 頭のなかが混乱してきて、 ぼうっと白濁してくる。
医療技術を駆使して、 死のときを一分一秒先へ延ばしてゆくことに、 中国 カークランド よくトルーマン大統領が引き合いに出されるのを憶い出す。
むっとしたのはちょっとの間で、 生きているものと死んでゆくものの苦痛を早急に排除する安楽死を、 納得するしかない。
生きていくことの苦痛を早く取り除いてやることも愛なのだから、 愛という非科学的な感情の基準が、 どこにあるのかわからない曖昧なものなどに拘ることなどないのかもしれない。
しかしまだ息をしている生き物を、 殺す勇気はアキオにはなかったし、 直視していることもできない。
過去に何度か、 人の死に立ち会ってきたのに、 いつも眼を背けてきたのは臆病のせいだったが、 眼を逸らせることこそ非情といえるのではなかったのか。
いまもマルタが老犬を射殺するのを凝視しておれなくて、 中国からの精力剤 穴を掘ってくれと言われたのを幸いに、 砂地にスコップを引き摺りながら、 マルタの庭の、 南東の隅へゆく。
ああ、 そちらじゃなくて、 こちらがいいわ

もうだめだわ、 この犬は。よろよろしながら帰ってきて、 もう起ち上がれないのよ
そう言いながらマルタは、 父と夫と息子につづく、 四っつ目の男性性器を持つ生き物の死を見る哀しい眼差しになっていた。
老犬の鼻先に水と餌が置かれていたが、 口をつけてはいなかった。
それでも、 マルタがアキオに向かって話す声は聴こえるらしく、 瞼のなかで眼球の動くのが視えた。
尾をパタパタと動かす元気は無いのだろうが、 気持ちだけはあるらしく、 毛先だけがかすかに動く。
しばらくマルタとアキオが、 リドスプレー 老犬の死期が迫ってきているのを見下ろしていると、 弱々しい鳴き声がして、 リドスプレー 使い方 それを聴いたマルタが堪えられなくなったのだろう、
リドスプレー販売店舗 もう諦めるんだねえ
と犬に向かって言ったのか、 自分自身に言ったのか、 引導を渡す瞑い声で言う。
アキオ、 こいつを、 あの松の根方に運んでくれるかしら。わたし銃を持ってくるから
マルタの言う意味が、 すぐにはわからなかったのだろう、 アキオが怪訝な表情になる。
意味は理解できなくても、 女から頼まれたことを拒否する気持ちはなかったから、 老犬を抱き上げようと、 蹲る。
抱かなくてもいいのよ、 尾を持って引き摺って行けばいいわよ
マルタの声が、 急に冷淡に聴こえたから、 アキオは、 強い女の情を推う。
マルタは、 アキオが思うほど、 強情だなどとみずからを思ったことなどなかった。
父が殺されたときも、 夫を殺したときも、 息子が死んだときにも、 彼女自身も死にたくなるほどの悲痛と苦悶に耐えかねるほどだったのだ。
しかしそれを、 じっと堪えているうちに、 後始末をしなければならない役回りを自覚し、 レビトラ100m 激安 自覚したとたんに、 急に心に氷が張って、 全身がピリッと音立てて引き締まるのを覚えたのだ。すると途端に、 死んだものへの冷淡さが人間性を閉ざしてしまい、 事務的な処理をするようになるのだった。
マルタが意を決した背の硬さを見せて、 家のなかに入ってゆく。
アキオは、 苦しそうな息遣いをし始めた老犬の尾を持って、 引き摺ってゆく無情な仕打ちができなかった。
もうずいぶん懐いて、 尾を振るだけではなく、 前足を上げて抱きついてくるようにもなっていたのだ。
一度は、 中腰になっていたところに抱きついてきたから、 中途半端な気持ちのまま立ちあがって、 立つと背丈が同じくらい大きい犬の重量に負けて転んでしまい、 抱き合ったまま倒れて笑うと、 犬が無邪気さを発揮して、 まろび転びつ遊んだことがあってから、 いっそう親しさを持つようになっていた。
アキオは、 マルタが抱いていかなくてもいい、 と言ったけれど、 抱き上げる。柔らかくてぶよぶよした感じが、 生暖かさとともに伝わってきて、 ぜいぜい息を吐くその臭いも加わり、 気味悪さのなかに悲哀が綯い交ぜになって、 涙がこみ上げてくる。

鬱屈した気持ちの、 ひとつの解消法として、 なんとなく思ったことは、 もう何日も帰ってこない老犬を探すことに気を紛らわせることだった。
あの犬、 もう老衰してもおかしくない年齢なの。メスを探してうろつくはずはないのだから、 死に場所を探しているんじゃないかしら
マルタがあまりにも哀しい瞼を瞬かせるものだから、 その老犬が死地を求めているというよりも、 マルタが死に場所を探しているのではないだろうか、 とアキオは思ってしまう。
居たたまれなくなって、 アキオは浜に散歩に出る。
少女のときに浜を歩きながら泣いたというマルタの言ったことばが、 ざらざらとした砂の感触のなかに窪んだ。
男たちは、 ミノサイクリン どうしてあんなに死に急ぐのかしら、 と言ったことばが蘇ると、 ムートンブーツの洗い方 渚に寄せてきた波に、 靴の底を支えていた砂を浚われた。
アキオは急に寂寥感に襲われて、 うろたえる。
何もかもが違って、 過去に一度も経験したことのなかった女。こちらの心のなかにぐいぐいと影響する力を加えてくる女。知性と性的魅力の相反するものを同時に感じさせるマルタは、 モーニングアフターピル 中国語 アキオの奔放な旅人精神に足止めさせるだけの関係を、 意図されたものか、 成り行きでかはわからなかったけれど、 つくってしまったのだ。
死んでもいい。溺れ込んで行きたい、 リキッドクイバー(liquid quiver) と惟うだけの価値のあるマルタだった。

一週間あまりも帰ってこなかったマルタの老犬が、 アキオが散策から帰ってくると、 マルタの足元にひれ伏すように寝そべっていた。
無断外出を、 マルタが厳しく叱責していたのかと思わせる恰好に視えた。
なんだ、 帰ってたんか。これの姿を見かけないかと思って、 犬たちが群がっているとこまで行ってみたんやけど
それはアキオの言い繕いではなかった。すこし海に突き出した突堤のようにみえる砂山の辺りに、 いつも、 野良犬か、 放し飼いにされている犬なのかはわからなかったが、 犬たちがまろび転びつして遊んでいる場所があったのを思いだして、 そこまで行ってきたのだ。
マルタの傍に長々と寝そべっている老犬は、 毛が抜け落ち、 痩せて、 いっそう老け込んでいた。